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『紳士と月夜の晒し台』ジョージェット・ヘイヤー 創元推理文庫
2018-03-11
- Category : ☆☆☆
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月夜の晩、ロンドンから三十五マイル離れた小さな村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された。被害者の腹違いの弟妹をはじめとして、殺害の動機を持つ容疑者にはこと欠かないが、浮世離れした彼らをまえにして、スコットランド・ヤードのハナサイド警視は呆然とするばかり。そんなとき、思わぬ事態が起きて……。ヒストリカル・ロマンスの大家として知られる一方で、巨匠ドロシー・L・セイヤーズが力量を認めた著者による軽妙な人物描写と緻密なプロットが光る傑作本格ミステリ! 内容紹介より
海外ミステリの黄金期にあたる1935年に発表された作品です。アガサ・クリスティやドロシー・L・セイヤーズなど、同時代の作家に比べて、日本においてミステリ作家として知名度が劣るのはそのスタイルのせいでしょうか。わたしは初読なのですけれど、“軽妙な人物描写”とそれにともなう容疑者側からの視点が印象に残りました。容疑者が被害者の異母弟妹とそれぞれの婚約者であること、さらに主な舞台が弟妹の家であること、そして彼らの居間に、婚約者、使用人、弁護士、警察官が入れ替わり立ち替わりして現われては、事件についてああでもないこうでもないという会話を繰り広げるので、テレビドラマのシチュエーションコメディぽい一面を感じました。。こういう、あまり波乱のない場面がかなりの割合を占め、また弟妹のふたりがかなり浮世離れした言動を見せるので、読んでいてちょっとくどい感じが残ります。ミステリとしては、ちゃんとポイントを押さえてはいるけれど、派手さがある訳ではないのでインパクトには欠けます。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌
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