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『愛おしい骨』キャロル・オコンネル 創元推理文庫

2018-10-20

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☆☆☆☆

十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。家政婦ハンナに乞われ二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、過去を再現するかのように、偏執的に保たれた家だった。夜明けに何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は、眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。これだけの年月を経て、いったい何が起きているのか? 半ば強制的に保安官の捜査に協力させられたオーレンの前に、町の人々の秘められた顔が、次第に明らかになってゆく。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。 内容紹介より



カリフォルニア州北西部の広大な森林に隣接した小さな町は、なぜか奇人変人を呼び寄せるものを備え、ある者はしばらくすると旅立ち、ある者はそのまま居着いてしまいます。生まれ育ったその町を出て、二十年ぶりに戻ってきた主人公は、子供の頃に森で行方不明になった弟のものと思われる遺骨が、何者かによって自宅の玄関に置かれることを知ります。その出来事を契機にかつての事件の真相が徐々に明らかになっていきます。
コヴェントリーという小さな町ながら何か魅力的で存在感のある舞台を建て、そこに色々な個性を持つ住民を住まわせる、作者によるこの作業の時点で物語はほぼ成功しているみたいに思えます。主人公はオーレンでありながらも、彼は狂言回しの役割を担い、住人たちそれぞれの姿を読者に伝えていきます。そして真の主役は一家の家政婦であるハンナです。彼女の正体不明で人間離れした慧眼と行動力が物語に活かされています。登場人物たちのなかで女性陣のキャラクターが非常に強烈で印象に残るのに対して、男性陣のほとんどは邪な、または冴えない立場に据えられていますし、ハンナに対する主人公父子、図書館司書メイヴィスに対する息子、州捜査官サリーに対する保安官、すべて女性に頭が上がらない構図です。この関係性と作者の意図を考えるととても面白く感じました。ちょっとだけ中盤以降にダレる部分もありましたが、丹念かつ丁寧に登場人物の姿とその相関を浮かび上がらせていく技法が見事だと思いました。後日談に救いがあって、読後感を爽やかなものにしています。

キャシー・マロリー・シリーズ
『死のオブジェ』
『陪審員に死を』




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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