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『二度死んだ少女』ウィリアム・K.クルーガー 講談社文庫

2018-11-25

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☆☆☆☆

行方不明になった女子高校生の捜索に加わった元保安官コークは、吹雪に行く手を阻まれるが、不思議な影に助けられる。その影こそが彼女の魂なのではないか?ミネソタの大自然と家族を愛する男は、広大な谷がのみ込んでいた真相に驚愕する。アンソニー賞最優秀長編賞を受賞した傑作ハードボイルド第4弾。 内容紹介より



〈コーク・オコナー〉シリーズは初読です。
本書を読むにつれ、大自然にインディアン、家族愛、(元)公僕、という共通の要素を備えるC・J・ボックスの〈ジョー・ピケット〉シリーズを思い出しました(訳も野口百合子氏です)。さらに両シリーズの主人公二人は、どこか不器用であり、頭脳優秀な奥さんがいます。
大晦日の夜、パーティに出席していた少女がスノーモービルで出かけたまま行方を断ちます。春になって発見された遺体には撲殺された痕跡が認められ、容疑者として彼女の元恋人だったインディアンの血をひく少年が逮捕されてしまいます。少年の小父に恩義を受けていた主人公が、少年の弁護を務める妻のアシスタントとして事件の調査を始めます。逃亡した少年が身を隠していた地で、彼はキリストに出会ったと言うのですが……。主人公が猛吹雪のなか、捜索中に見た行方不明の少女の幻影、少年とキリストの遭遇、少女の墓石に現われた血の涙と大量の薔薇、蛇の大群の幻、少年が起こした数々の奇跡。インディアンに伝わる土着信仰とキリスト教が語られ、特にキリスト教が備える人に対しての冷酷な部分や信仰する者が抱えがちな独りよがりな解釈、そういったものが引き起こす悲劇を描いた作品だと思います。そして捜査する上で容疑者たちに対する感情を常に内省する主人公は、一度は神を捨てた人物として描かれています。心の揺れを認め、真摯に自らに問いかける柔軟性を失わない主人公の男らしさは、“イノセンスな少年”が大人になった姿なのかもしれません。

『ありふれた祈り』ハヤカワ・ミステリ





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