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『わたしが眠りにつく前に』SJ・ワトソン ヴィレッジブックス

2018-12-01

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☆☆☆☆

「わたし」クリスティーン・ルーカスは、特殊な記憶障害を負っている。毎朝目覚める度、前日までの記憶が失われてしまうのだ。いまは長年連れ添った夫とふたり暮らし。毎日彼が誰かすらわからなくなるわたしを、夫は献身的な愛で受け入れてくれている。そんなある日、医師を名乗る若い男から電話がかかってくる。聞けば、少し前から夫に内緒で彼の診察を受けているのだという。医師はここ数週間、あなたは毎日の出来事をひそかに書き綴ってきたと言い、日誌を見るように告げる。わたしは言われるまま、それを読み始めた。その先に何が待つのかも知らずに……。CWA最優秀新人賞受賞作。 内容紹介より



轢き逃げ事故による怪我が原因の記憶障害を負った四十代の女性が主人公です。教師である夫とふたり暮らしの彼女は、眠ることで前日の記憶が失われる障害を持っています。毎朝目覚めると、自分の年齢もどこに住んでいるのかも、夫が誰なのかも判らなくなっている状態になります。そんな彼女の症状に興味を示した医師が接触してきて、彼女は夫に内緒で一日の体験を日誌に書き留めるようになります。そうやって書き綴ったものを読むことで彼女は前日までの夫や医師との会話や出来事を知ることができるようになり、また過去の記憶がかすかながら断片的によみがえってくるようになります。
主人公を取り巻く状況はほとんどワンシチュエーションであり、身体ではなく閉じこめられた記憶という意味では、本書はソリッドシチュエーション・スリラーの一種といえるかもしれません。主人公みたいな特殊な脳機能障害を負っている人はいるでしょうが、そういう人たちの気持ちは想像もつきませんけれど、本書を読んでいるとこちらまで閉塞感を持ちました。物語はサスペンスとミステリ仕立てになっているわけで、登場人物たちの正体が本当に書いてある通りの姿なのか、誰かが主人公を陥れているのか、彼女の記憶は本物なのか、あるいは彼女自身が作り出した作話なのか、これらの謎が湧いてくきます。ただ、そういった謎と疑問をもっと複雑に絡みあわせてあれば、さらにサスペンスが高まっただろし、予想がつきやすい後半部分に読者を迷わせる仕掛けが出来たのではないかとも思いました。しかしデビュー作において、このようなシンプルな状況設定のなかで話を回す高いレベルのテクニックを示しているのはたいしたものだと思います。しかも作者は男性だそうですので。



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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