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『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン 早川書房

2019-02-23

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☆☆☆☆

その書店は島で唯一の、小さな書店―偏屈な店主のフィクリーは、くる日もくる日も、一人で本を売っていた。 かつては愛する妻と二人で売っていた。いつまでもそうすると思っていた。しかし、彼女は事故で逝き、いまはただ一人。ある日、所蔵していたエドガー・アラン・ポーの稀覯本が盗まれる。売れば大金になるはずだった財産の本が。もう、なにもない、自分にはなにも。それでもフィクリーは本を売る。そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは―いたいけな幼児の女の子だった。彼女の名前はマヤ。自分も一人、この子も一人。フィクリーは彼女を独りで育てる決意をする。マヤを育てる手助けをしようと、島の人たちが店にやってくる。婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。みなが本を読み、買い、語り合う。本好きになったマヤはすくすくと成長し…… 人は孤島ではない。本はそれぞれのたいせつな世界。これは本が人と人とをつなげる優しい物語。 内容紹介より



以下、ネタバレを含んでいます。ご注意下さい!

本書は2016年本屋大賞翻訳小説部門第一位になった作品だそうです。島でただひとつの本屋を妻とともに営んできた主人公は、妻が亡くなった後ますます偏屈に拍車がかかり、ときに酒に頼る生活を送っています。しかし、ある日店に幼い女の子が置き去りにされていた出来事から、主人公や彼を取り巻く状況が変化していきます。
タイトル通り、あくまでもフィクリーの話です。彼の人生の再生物語であって女の子はいわば一種の触媒に過ぎません。彼女と出会ってから後、三歳、十二歳、十五歳と断続的に語られるので、幼児期のみのふたりの触れ合いをメインに描いている訳ではありません。世間に迎合しない姿勢を貫いて自分好みの本揃えをする主人公の姿は魅力的です。女の子が育てられることになり、島民が色々と気を配ってくれる、なかでも読書嫌い警察署長などは署内に読書クラブまで立ち上げるほどの変わりようです。そういう展開もほのぼのして良いと思いますし、良く知られた長篇や短篇の作品名に触れているところも読書好きの心に響くものがあります。主人公の義理の姉にまつわる苦みの効いたエピソードは物語を引き締めています。しかしプロットのパターンについてはこれまでいくつもあるものですし、甘さや緩さみたいなヤング・アダルト系の作家らしさがちょっと気になってしまいました。なんというか分かったような分からないような人生訓を入れたがる傾向も同様です。そもそも主人公を死なせる必要性があったのかどうなのかという点、難病で逝ってしまうお涙頂戴風な展開は個人的に好きではないし、闘病している方に失礼ではないかと思ってしまうのです。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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