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『死ぬほど会いたい』B・M・ギル ミステリアス・プレス ハヤカワ文庫

2019-03-01

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☆☆☆

なんと美しい娘だ—元ピアニストのローアルは、偶然見つけた一世紀前の写真の女を愛してしまった。彼女はなんという名前で、どんな生活をしていたのか?人里離れた山荘でひとり妄想をつのらせていく彼の前に、ある日写真と瓜ふたつの女が現れる……人間心理の深淵を描いて並ぶ者のないB・M・ギルが、宿命の愛に溺れていく男の姿を描く心理スリラー 内容紹介より



1984年発表の『十二人目の陪審員』が法廷ミステリ、’85年の『殺人セミナー』が正統派ミステリ、’86年『悪い種子が芽生える時』 はサイコパスもの、’88年の本書も異常心理を扱っていますがオカルト風味が付けられています。本書における作風は非常にルース・レンデルのノン・シリーズ作品に近いものを感じますが、一作ごとに趣を変えているところが彼女との相違点なのでしょうか。遠い親戚から遺された山荘は電気も水道も通じていない、訪れた者は皆気味悪さを感じる古い建物でしたが、主人公はそこに奇妙な安らぎを覚えて気に入ってしまいます。有名なピアニストだった彼は関節炎のために演奏ができなくなり、伯父から紹介された仕事も辞めてしまい妻との関係もぎくしゃくした状況でした。そのため失意の彼は山荘に滞在し一人暮らしを始めることにします。そこで見つけた古い写真の女性に彼は一目で心を奪われてしまうのですが、ある日写真の彼女にそっくりな娘に出会います。少女を写真の女性に仕立てようとする主人公を破滅に導く偏執を描いた作品です。主人公夫婦、彼らの友人夫妻、写真家、この三つの視点、これに娘を含めた彼らの微妙な関係性と人物配置の妙、そして巨大な牡牛やアンティークドレスの伏線としての使い方が作者の技量を感じさせます。ミステリのテキストブックに用いられそうな作品ですけれど、意外性のないオーソドックスなところがちょっと物足りないか。

『十二人目の陪審員』
『殺人セミナー』




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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