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『狼の震える夜』ウィリアム・K.クルーガー 講談社文庫

2019-03-16

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☆☆☆☆

厳しい冬迫るミネソタの湖畔の小さな町。元保安官コークは、消息を絶った人気女性歌手捜しの手伝いを引き受けた。幼い頃、目の前で母を殺され、心に傷が残る彼女は、母の故郷の湖沼地帯に身を隠していた。コークは捜索に向かうが、正体不明の影が彼を追い、そして殺人が……。傑作ハードボイルド第二作。 内容紹介より



本書は〈コーク・オコナー〉シリーズの第二作目に当ります。
亡くなった母親の故郷に人知れずやってきた人気カントリー歌手は、地元のインディアンの古老を頼り、大自然のなかにある湖畔の小屋で静かに過ごしていました。しかし、冬が迫るなか古老の迎えが来ず、取り残された彼女はひとりで小屋を出で町へと向かいます。一方、彼女の身を案ずる義理の父親の依頼で主人公は捜索に協力することになるのですが、彼女の母親の殺害事件に関してFBI捜査官が介入してくるとともに、その事件の容疑者だったカジノ経営者が町に現れます。その上に、謎の追跡者まで彼女の行方を追ってくるのですけれど、彼らの目的は一体何なのか……。
人気女性歌手がセラピーを受けたことにより、幼少時代に目撃した母親殺害事件の犯人につながる記憶がよみがえったのではないか、という推測が持ちあがったために被害者や事件と関係のあった人物たちが集まり、さらに彼女を実の娘だと主張する人物も現れて入り組んだ人間模様を描き出します。また彼女の口封じをするためなのか、目的のはっきりしない人物が彼女の身に迫ってくる展開です。逃げる、追う、捜す、三様の視点で冒険やサスペンスを描き、これに主人公の妻からの視点が加わって家族愛や絆を描くことで物語に重層性を持たせています。等身大で寡黙な主人公の造形も魅力的です。ハードボイルドにネイティブ・インディアンの伝統や信仰が巧みに組み合わされたシリーズだと思いますが、本書はそれがさらに強く感じました。それは特にインディアンの古老の親戚にあたる少年が語り部となって、今回の一連の顛末を古老にまつわる新たに伝承すべき物語として語るエピローグに色濃く出ていました。

『二度死んだ少女』講談社文庫
『ありふれた祈り』ハヤカワ・ミステリ




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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