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『遭難信号』キャサリン・ライアン・ハワード 創元推理文庫

2019-06-27

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☆☆☆

アイルランドの小さな町で、ハリウッドを夢見て脚本を書き続けてきたアダム。恋人のサラが仕事でバルセロナに出張し、まったく連絡がとれなくなってしまう。だが出発から数日後、アパートにサラのパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい—S」とサラの字で書かれた付箋が貼ってあったが、封筒の文字は別人のものだった。彼女に何があったのか?アダムは恋人を追い、手がかりをもとに地中海クルーズ船に乗り込む。千以上もの客室を持つ豪華客船で暴かれる、予想外の真実。巧みな構成力と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス! 内容紹介より



主人公アダム、セレブレイト号の客室係、ミロという少年、この三人の視点で物語が展開していきます。客室係は船内にいる人物を密かに捜すという目的を持っているらしく、一方少年については母親に疎まれている不幸な生い立ちが描かれていきます。ハリウッドに脚本が採用されてやっと才能が日の目を見た時、 主人公の不遇な時期を支えてきた恋人が出張先で突然連絡が取れなくなってしまい、彼女のパスポートが別れを匂わすメモとともに彼の元へ郵送されてきます。自分のみならず両親、親友とも連絡を絶った彼女の行動に疑問を持った主人公は警察へ捜索願を提出するのですが、事件性がないことを理由に真剣に取り合ってくれません。やがて恋人の親友から意外な事実を打ち明けられるのですが……。その後、同様な経験をした人物とともに客船に乗り込み、調査を始めることになります。
船上で起きた事件や事故を揉み消そうとしがちな船会社の思惑と船籍や捜査権の関係でそれが行いやすくなっている点など豪華客船が抱える影の部分が物語の核となっています。その闇に飲み込まれたかのような恋人の行方を追う、ヒーロー然とは異なる主人公の憔悴し精神的に追い詰められていく等身大の姿が印象的です。彼以外の二つの視点で描かれる話が失踪事件とどう交わってくるのかという興味も引かれます。ただ、その設定が非常に効果を及ぼしているかというと残念ながらインパクトが弱くて付けたした感があるような気がしました。話の展開が最終盤でやや強引であり、事件の真相も捻りは加えてあるものの衝撃度はそれほどではなかったです。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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