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『引き攣る肉』ルース・レンデル 角川文庫

2019-07-30

☆☆☆☆

ヴィクターには或る恐怖症があった。14年の刑期を終えて出所した今、彼はその恐怖の因(もと)となるものをいずれ目にすることを予測していた。彼のもう一つの関心は、フリートウッドという元刑事のことだった。ヴィクターは女を襲って追われる途中、フリートウッドを銃で撃ち、逮捕されたのだ。彼は半身不随となったが、クレアという恋人と幸福に暮らしているという。不思議な運命の糸に操られたかのように、ヴィクターは彼らと出会った。クレアを含む3人の間に生じた奇妙で、危険な関係、それがやがて恐るべき破局を生むことになるのだが…。CWA賞受賞の傑作。 内容紹介より



1986年に発表されたノン・シリーズ作品です。性犯罪者で、逃走中に立てこもった家で刑事を撃って逮捕されたヴィクターが主人公です。ほとんど彼の視点によって物語が描かれているため、その社会病質性があらわに伝わってきます。やや奇妙な家庭ではあるけれど、虐待を受けて育っているわけではない彼の異常性、女性に対して向けられる攻撃性のもとがはっきりと示されていないところが異様さを強めているように感じました。日常性に埋没した異なるものを描き出すのが作者の特徴であり、その異なるものが様々な要因で姿を現してあらぬ方向へと動きだしてしまうサスペンスが読みどころだと思います。本書でも彼の犠牲となって車椅子生活をする元刑事とその恋人が、彼とどういう出会い方をし、またそれがどういう結果におちていくのか、そんな先の展開がまったく読めない不安を感じさせる作者の技が冴えています。
「この作品もまさしくレンデルの世界、くつろぎのひとときも、「幸福な眠り」も約束はしてくれないでしょう」(p364)、訳者である小尾芙佐氏のあとがきにあるこの言葉が作品をよく言い表していると思います。

ユーザータグ:ルース・レンデル




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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