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『乗客ナンバー23の消失』セバスチャン・フィツェック 文藝春秋

2020-02-13

Tag :

☆☆☆

命がけの囮捜査から帰還した捜査官マルティン・シュヴァルツにかかってきた電話が、彼を憎むべき客船へ導いた。五年前に彼の妻子が姿を消した船に乗り込んだマルティンが見たのは息子のティディベアだった。二ヵ月前に同じ船から姿を消した少女が、このティディベアを手にして、突如として船内に出現したのだという。ティディベアは今までどこにあったのか。少女は今までどこにいたのか。少女とともに姿を消したはずの母親はどこに。そしてマルティンの妻子の身に本当は何が起きたのか? 船の中で起きているのはそれだけではない―闇の底に監禁されている女がおり、彼女を詰問する謎の人物がいる。娘の忌まわしい秘密を知って恐慌を来す女がいて、その娘は何者かと連絡をとりながら不穏な計画を進める。船員はメイドを拷問し、泥棒がそれを目撃する。そしてマルティンを船に誘った富豪の老女は「この船には殺し屋がいるのよ」とささやき、神隠しから戻った少女は凍った表情のまま口を閉ざす……巨大な船の奥底に広がる迷宮。そこに隠されているのは何か。無数の謎をちりばめて、ドイツ屈指のベストセラー作家が邁進させる閉鎖空間サスペンス。マルティンの鬼気迫る捜査がたどりついた真相とは?そしてあなたが「一件落着」と思ったとき、鬼才フィツェックの意外な真相つるべ打ちが開始されるのだ! 内容紹介より



巨大豪華客船という華やかなクローズドサークル、何千人もの乗客乗員、日常から離れた巨大な迷路を持つ船底、そこに内容紹介にあるような多くのミステリが仕掛けられていると思うと期待が高まります。しかも実際にクルーズ船における乗客乗員の行方不明者数はかなりの数になるそうです。ただハードルを上げたせいか、思っていたほどの満足感は得られませんでした。確かに面白いのですけれど、個人的に想像していたものとなにか違うような。全体的に粗さというか大雑把というか繊細さにかけているような印象が残りました。例えばスピディーな進行を心がけるために、こういう設定の妙である群像劇の要素をほとんど取り入れていないためにスケールが小さくなっているように思いました。これが作者のスタイルなのでしょうが、そこら辺は残念な気がします。また、囮捜査のためにエイズ検査で陽性なる薬品を注射したり、自ら抜歯したりと、ちょっと主人公のキャラクターが無駄にタフで強烈すぎるようにも感じたりもしました。テーマの悲惨さもありますが、もっと構想を練ってもよかったのでは。先に読んだ『遭難信号』(キャサリン・ライアン・ハワード 創元推理文庫)と被るところがあるのも微妙なのかもしれません。

『遭難信号』キャサリン・ライアン・ハワード 創元推理文庫





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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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