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『監禁面接』ピエール・ルメートル 文藝春秋

2020-02-25

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☆☆☆☆

企業の人事部長だったアラン、57歳。リストラで職を追われ、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今はアルバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが人材派遣会社の社長じきじきに告げられた最終試験の内容は異様なものだった。―就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ。重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。遂にバイトも失ったアランは試験に望むことを決め、企業人としての経験と、人生どんづまりの仲間たちの協力を得て、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!だが、ここまでで物語はまだ3分の1。ぶっ飛んだアイデア、次々に発生する予想外のイベント。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成に読者は翻弄される。残酷描写を封印したルメートルが知的たくらみとブラックな世界観で贈るノンストップ再就職サスペンス! 内容紹介より



偽のテロリスト等に重役会議を襲撃させ、監禁、尋問して重役たちの危機管理能力や問題処理能力を査定し、また、主人公を含む就職希望者に彼ら尋問をさせることで採用の可否を決める、なんていう奇想天外かつ荒唐無稽な設定に読んでいて少々頭が混乱しそうになります。仕事上のトラブルによりバイト先から損害賠償請求の訴えを起こされた主人公は、妻が反対するなか、娘から借金をして面接のそなえての情報収集と専門家による個人レッスンによる学習に励みます。ここまでが「そのまえ」。「そのとき」では、語り手が今回の面接をセッティングした元傭兵に代わり、面接がアクシデントによりとんでもない事態に見舞われる様子が語られます。そして「そのあと」では、再度主人公に視点が戻り、彼の真のたくらみが徐々に明らかになっていくという流れです。展開がまったく読めない予想外のコンゲームといったところでしょうか。都合の良さと強引さも目に付きますが、このくらい吹っ切れたほうが娯楽作品としての面白さが引き立つように思います。失業という人間の尊厳にかかわるような状態の陥り、切羽詰った初老の主人公のいたたまれなさや焦り、怒り、無念も描き、それらの感情に突き動かされ、ただ愛する家族の為を思って綱渡りのような計画を成し遂げた先にあったものは……。

『その女アレックス』文春文庫




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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