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『エアーズ家の没落』サラ・ウォーターズ 創元推理文庫

2020-03-26

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☆☆☆☆

この地方で、かつて隆盛を極めたエアーズ家は、第二次世界大戦終了後まもない今日では斜陽を迎え、広壮なハンドレッズ領主館に逼塞していた。かねてからエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、ある日メイドの往診を頼まれたのを契機に、一家の知遇を得る。物腰優雅な老婦人、多感な青年であるその息子、そして令嬢のキャロラインと過ごす穏やかな時間。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、少しずつ、彼らの心をむしばみつつあった……。悠揚迫らぬ筆致と周到な計算をもって描かれる、たくらみに満ちたウォーターズの最新傑作。 上巻内容紹介より



時代背景は第二次大戦後まもない頃、労働党政権下で食料やガソリンなどの配給制度がしかれています。そのような中、由緒あるハンドレッズ領主だったエアーズ家は、経済状況の悪化により土地や家財を売って家計を支えている状態です。主要な登場人物は、エアーズ家の領主ロデリック、姉のキャロライン、彼らの母親で先代のエアーズ夫人、館の住みこみメイドであるベティ、そして物語の語り手ファラデー医師です。時代の趨勢により凋落していくエアーズ家と荒廃していくハンドレッズ館、その館を侵食するように手放した領地に労働者向けの住宅が立ち並ぶという構図を組み、館の元奉公人を母親に持つ医師がエアーズ家との交流から見た、館に起きた奇妙な出来事とその家族の悲劇を物語ります。物語の核心とは、エアーズ家の没落にとどめを刺したのは果して館で発生した数々の超自然現象なのか、あるいは人的なものなのか、ということなのでしょう。早世したエアーズ家の長女の霊または集団ヒステリー、あるいは館への執着心によって精神を蝕まれたと思えるある人物、様々に疑うことができます。作者は最後に匂わせてはいますがはっきりとした正解はないのかもしれません。下巻になると同様なことの繰り返しで、やや単調に感じてしまうところもありました。しかしすっきりした文体と、こなれた訳文で非常に読みやすかったです。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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