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「ミッドサマー・キリング」トレバー・バーンズ 講談社文庫

2007-01-08

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☆☆

美人の女性警部の前に、猟奇殺人事件の死体が――。パディントン駅から遠からぬハムステッド・ヒースで、その腐乱死体が発見された時、なぜかMI5と英国公安部が動きだした。スコットランドヤードのブランチ・ハンプトンが捜査を進めていくとそこには――。複雑な過去が鮮やかに甦る傑作長編推理!  内容紹介より



警察小説とスパイ小説の二つが合わさると二倍面白い小説になるかというと、不思議なことにつまらなくなる。テーマがエスピオナージと殺人事件の謎だとどうして皆面白くなくなるのだろうか?成功しているのは、ル=カレの『死者にかかってきた電話』くらいなものでは。スパイ小説の中での殺人はイデオロギー対立の結果、表面に現れた好ましくない副産物みたいなもので一つのファクターにすぎないけれど、警察小説における殺人は、それから全てが始まる絶対的重要要因だからもともと相容れないジャンルなのかもしれません。結局、スパイ小説の殺人犯は暗殺者であり国家やそれに付属する権力機構から雇われた名もない人間、一つの歯車なのに対し、警察小説では殺人犯や殺人の動機を探り明らかになっていく過程が読者の興味をそそるわけでして、そこにMI5(国家)が出てくるとたちまち先が読めて興ざめしますね。

上記のことがすべて本書にあてはまるわけではないのですが、MI5の介入、警察上層部からの圧力と捜査中止の命令、それに従わない警部、言わずもがなの旧KGBと過去の出来事などプロットに目新しいものがない。テレビ脚本家出身らしい作者の終盤におけるひねり過多のサービス精神は旺盛ですが、ル=カレの作品を漂白しすぎたような印象を受けました。

蛇足ですが、カバーデザインが辰巳四郎さんにしてはいただけないです。まるで二見文庫みたい。以下、黒地にこんな感じで色使いが多すぎて…。



ミッドサマー・
MIDSUMMER KILLING-Trevor Barnes
キリング
真夏の殺人 ―トレバー・バーンズ/矢沢聖子-訳

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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