風光明媚な歴史の町バースに住むルンギ一家は、親子三代にわたって探偵事務所を営む“探偵家族”。戦後、裸一貫から事務所をおこした親爺さん、優しいママ、放蕩息子の長男サルヴァトーレ、妻のジーナと事務所を切り回す次男アンジェロ、経理担当の長女ロゼッタ、そしてやんちゃ盛りの二人の孫だって立派なメンバーだ。そんな彼らのもとへ、ある日近所の主婦がやってきて台所の洗剤がいつもの場所とずれているので調べてくれという。雲をつかむような依頼は、やがて思いもよらぬ展開を……ハードボイルドの巨匠が贈る、ユーモラスな新シリーズ。 内容紹介より
“洗剤の容器が置いたままのところにあった”、依頼人の夫人は、夫が何か面倒なことになっていると思い調査を頼んだ。変わらぬ日常生活の営みの中で当事者だけが気付いた些細で奇妙な出来事。それを導入部分に謎として提供して読者の興味を引き付けるところは、アシモフの『黒後家蜘蛛の会』の諸作品を思わせます。また、モジュラー・タイプのストーリー展開とカットバック多用(過多とも言えますが)の構成はマクベインの87分署シリーズの家庭版と言えるかも。サクサク読めて、とにかくリューインの達者さが目に付く作品です。訳者あとがきで田口俊樹さんが述べているように「あくまで客観描写に徹するリューイン」らしい軽ハードボイルド(コージーではなく)です。
ただ、原題『FAMILY BUSINESS』(探偵家族)にこだわったのか家族八人に万遍なく活躍の機会を与えたために、核となる人物がいなくなってまとまりに欠けるような印象もあります。また、長男サルヴァトーレの女友達マフィンのエピソードは全く物語と関連がないし必要がない気がします。孫二人、マリー(姉)とデイヴィッド(弟)の関係はわたしにも思い当たることがあって良く描かれていると思います。
このシリーズの原案は、短編『探偵をやってみたら』(『探偵は眠らない 下』ハヤカワ・ミステリ文庫 収録)にあるのではないでしょうか。
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