古代ローマ人の生まれ変わりのSF作家がたどる奇妙な人生と、未来を見られる摩訶不思議な目をめぐる物語を描く表題作「シビュラの目」をはじめ、ホワイトハウスに設置されたコンピュータが大統領をつとめる未来の合衆国で、思いがけず大統領の待機員に任命された男を軽妙に描く「待機員」、本邦初訳の「聖なる争い」と「カンタータ百四十番」、大実業家の死後に起こる異様な出来事を描く「宇宙の死者」など全六篇を収録。
内容紹介より
「聖なる争い」(‘66年)と「シビュラの目」(‘75年)以外の作品「待機員」、「ラグランド・パーグをどうする?」、「宇宙の死者」、「カンタータ百四十番」は‘63年から‘64年にかけてSF雑誌に掲載されています。この合衆国大統領と大統領選挙がテーマのひとつになっている四作品の中で「宇宙の死者」以外はジム・ブリスキンが登場する連作短編です。
1964年の大統領選挙戦では、ネガティブキャンペーンと言われる、花を摘む少女とキノコ雲の有名なCMが放映されました。ディックがそのCMを観たかどうかは分かりませんが、当時の選挙戦とメディアを駆使した選挙戦略を意識して、これらの風刺作品に仕立てたのではないでしょうか。
待機員から本物の大統領になってしまったマックスの対立候補に、宇宙でも有名なニュースキャスターが立ったり、選挙キャンペーンのために歌を作りテレビで歌わされるフォークシンガーが登場したり、テレビやラジオ、電話や電報にまで干渉してくる宇宙の何処からか聞える“つぶやき”が特定の候補の名前を連呼したり…と。
「聖なる争い」は、軍事計画を受け持つスーパーコンピューターと人間との形而上学的というか哲学的な問答をテーマにしているのかと思ったら、唖然となるほどある意味すごいオチだった。
「カンタータ百四十番」人類が長寿になり過ぎて人口が過剰になった二〇八〇年、黒人の大統領が出現か?仕事もなく移住に適した惑星もないため、何千万人もの人が人工睡眠状態になり政府の倉庫で眠っていた。産児制限の教育、宇宙に浮かぶ売春のための人工衛星。
2008年の大統領選にはオバマ氏が立候補していますから、もしかしたら2080年より早くのアフリカ系アメリカ人の大統領が出現するかもしれませんね。
「シビュラの目」は作者の意図するところは分かるような気がするけど、少し説明不足なのでは…。
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