FC2ブログ

「歌う白骨」オースチン・フリーマン 嶋中文庫

2007-11-23

Tag :

☆☆☆

霧深き洋上で忽然と消えた灯台守。やがて死体で発見された男を前にして、科学捜査の七つ道具を納めた、法医学博士ソーンダイクの緑色の小型トランクが開かれた……。物語前半で犯人を明かし、後半で完全犯罪のほころびを暴いていく〈倒叙推理小説〉と呼ばれる形式をはじめて試みた、フリーマンの代表的短篇集。 内容紹介より



探偵小説の系統樹があるならば、ソーンダイク博士はリンカーン・ライムのお爺さんくらいにあたるでしょう。作品自体には古典的価値しかないように考えがちですが、この作者の手法がクロフツやディーヴァーに引き継がれていて、特にディーヴァーの作品(リンカーン・ライムもの)はソーンダイク博士の作品に尾ひれを付けたに過ぎず、基本的なものは何ら変わっていないのではないでしょうか。極端に言えばですが。

「オスカー・ブロズキー事件」
宝石に目がくらんで宝石商を殺し、死体を列車事故にみせかけた男の話。
〈ソーンダイク博士もの〉の基準標本を大英博物館に収納するとしたら、この作品を推したいくらい、如何にもな作品。
「計画された事件」
強請られた元脱獄囚が相手の男を殺害し、別の男に罪を着せる話。犯人の行動がなんだか牧歌的に感じてしまいます。
「犯行のこだま」
いわゆる「歌う白骨」。昔犯した殺人事件の共犯者に偶然出会い、その相手を殺してしまった灯台守の話。
「落魄紳士のロマンス」
けちな老年の泥棒が青年時代に知り合った女性に再会するのだが、彼女の持つ宝石に目がくらんで手にかけてしまう。このシリーズには珍しい(?)人情もの。O・ヘンリーの作品みたいな終わり方。
「老いたる前科者」
刑務所を出て結婚し、今では堅気の生活を送る男が身に覚えのない殺人の罪で指名手配される。殺人現場には男の指紋が残されていたのだ。男はソーンダイク博士に助けを求めるが…。この作品のみ倒叙形式ではないです。

これらの作品の印象は、すべての事象が上手い具合に収まるのでピタゴラスイッチを逆回転させたようなものでしょうか。
一日一話づつ読んだほうが飽きがこなくて良いでしょう。それと和田誠氏のカバーイラストは悪くはないけれど保守的で、彼の絵にはちょっと食傷気味なので、山下和美氏くらいを起用して欲しかったかも。


歌う白骨 (嶋中文庫―グレート・ミステリーズ)歌う白骨 (嶋中文庫―グレート・ミステリーズ)
(2004/12)
オースチン フリーマン

商品詳細を見る

テーマ : 海外ミステリ
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF アンソロジー クリスマス・ストーリー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート デイヴィッド・ハンドラー ドン・ウィンズロウ ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ジョージ・P・ペレケーノス C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング ヘニング・マンケル レジナルド・ヒル ローレンス・ブロック カール・ハイアセン パーネル・ホール ジェイムズ・パタースン S・J・ローザン ジェームズ・パターソン エド・マクベイン リチャード・マシスン ジル・チャーチル D・M・ディヴァイン リリアン・J・ブラウン ジェフリー・ディーヴァー レスリー・メイヤー ピーター・ラヴゼイ ジャネット・イヴァノヴィッチ スチュアート・ウッズ ローラ・リップマン ジョルジュ・シムノン レックス・スタウト ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー クレオ・コイル ジャック・カーリイ アリス・キンバリー マーシャ・マラー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ヒラリー・ウォー ジョン・ディクスン・カー コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー エド・ゴーマン マイケル・ボンド ジェフ・アボット G・M・フォード ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス フレッド・ヴァルガス ロブ・ライアン リタ・メイ・ブラウン ポール・ドハティー キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ダナ・レオン リン・S・ハイタワー アン・クリーヴス アンソニー・ホロヴィッツ デイヴィッド・マレル ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック ジョアン・ハリス ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン ジョン・クリード アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ケイト・ロス ウイリアム・P・マッギヴァーン レイ・ハリスン コニス・リトル クリスチアナ・ブランド エヴァン・マーシャル ファーン・マイケルズ オーサ・ラーソン ジャック・フィニイ ウィリアム・ランデイ エーリヒ・ケストナー リック・ボイヤー ビリー・レッツ サキ ユージン・イジー イーサン・ブラック ジェーン・ラングトン ウォルター・サタスウェイト ウォルター・モズリイ トバイアス・ウルフ ポール・ドハティ スタンリー・エリン 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント