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「トム・ゴードンに恋した少女」スティーヴン・キング 新潮社

2007-11-26

☆☆

世界には歯があり、油断していると噛みつかれる―。ボストン・レッドソックスのリリーフ・ピッチャー、トム・ゴードンに憧れる、少女トリシアは、9歳でそのことを学んだ。両親は離婚したばかりで、母と兄との3人暮らしだけれど、いがみ合ってばかりいる二人には、正直いって、うんざり。ある6月の朝、アパラチア自然遊歩道へと家族ピクニックに連れ出されるが、母と兄の毎度毎度の口論に辟易としていたトリシアは、尿意をもよおしてコースをはずれ、みんなとはぐれてしまう。広大な原野のなかに一人とり残された彼女を、薮蚊の猛攻、乏しくなる食料、夜の冷気、下痢、発熱といった災難が襲う。憧れのトム・ゴードンとの空想での会話だけを心の支えにして、知恵と気力をふりしぼって、原野からの脱出を試みようとするが……。9日間にわたる少女の決死の冒険を圧倒的なリアリティで描き、家族のあり方まで問う、少女サバイバル小説の名編。内容紹介より



同じアパラチア自然歩道を山歩き素人の中年男二人組がウロチョロするノン・フィクション『ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験』(中央公論社)のほうがよっぽど面白い。

物語に入り込めなかった原因は設定に不自然さを感じたからです。キングの作品に登場する子供たちは、あまりにも年齢の割にしっかりし過ぎるきらいがあると思うのですが、9歳の少女トリシアもそんな感じで立派すぎること。そうでありながら、山歩きの基本である、道に迷ったらその場から動かないという鉄則を簡単に破ってしまうこと(母親が初心者ではあるけれどハイキング好きで、一般的な知識を子供に教えているにもかかわらず)。この点はキングなら読者が納得する状況をいくらでも提示できるであろうに、そうしていない。そして、「あれ」がいつまでも長距離に渡って付きまとうこと、が、いまいち効果的な役割を果たしていないこと。

第一、少女が無事で物語が終わることは当然なんだから、家へ還り着くまでの経過がこの程度の話だとキング作品としてはどうなんだろうと。それから、トム・ゴードンとの会話もなんだか宗教じみてて馴染めなかったです。

ボストン・レッドソックスの熱狂的ファン だというキングがレッドソックスに捧げた物語、あるいはちょっと変わったレッドソックス讃歌だと考えれば良いのかもしれませんね。


トム・ゴードンに恋した少女トム・ゴードンに恋した少女
(2002/08/30)
スティーヴン キング

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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