田舎町の下宿屋を焼け、ある少女を襲え、無名大学のバスケットボール・チームに八百長をさせろ、売れないコメディアンを殺せーー死んだCIA副長官オグデンが、正体不明の4人の工作員に宛てた指令書には、それぞれ奇妙な任務が記されていた。しかも指令は、絶対に中止できない「ジブラルタル・ルール」で出されていたのだ! オグデンは、いったい何を考えていたのか? 事態を重く見たCIAの要請で、読心能力を持つ特殊工作員センシティヴたちが、指令の実行を阻止すべく動き出した……好評のシリーズ最新作!内容紹介より(一部改変)
『心を覗くスパイたち』(新潮文庫)、『センシティヴ』(扶桑社ミステリー)に続く三作目だそうですが、わたしはこのシリーズ初読です。なんといっても、病魔に冒されて発したとしか考えられない、常軌を逸した四つの指令の謎が読む気をそそります。各指令を阻止するために派遣された四人のセンシティヴたちの行動が同時進行で描かれ、そのためかなり読みやすく展開がスピーディーです。しかし、やや余分な書き込みに感じられる箇所も見られます。たとえば、〈わたし〉とコメディアンの妻とのモーテルでのやり取りはソープオペラ的だし、〈わたし〉のモノローグは文学表現臭くてそぐわない気が…(p185〜186)。元キューバの工作員の昔話はもう少し短くしたほうがいいだろうし、ホテルの一室でのセンシティヴと人妻とその夫さらに工作員たちの行動がドタバタ劇みたいで、全体のサスペンス風統一感からこの部分が浮いている気がしました(p340〜348)。いろいろなところでの細部の詰めが甘い印象です。
他にも言いたいことはありますが、それでもプロットはしっかりしていますし、小さな捻りと予想外の展開がありB級エンタメ小説としてとてもよくできていると思います。
工作員のひとりセクスタントにまつわるエピソードはなかなか良かった。
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