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「熱気球殺人事件」デビッド・オズボーン 講談社文庫

2008-07-25

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☆☆☆

ボストン湾に浮かぶ絵のように美しい島マーサズ・ヴィニャード島には、超リッチな上流階級の人達が住んでいる。その島で、五十代の未亡人である私は大金持ちの友人と気球乗りに挑戦するのだが、ある日広大な邸宅の持ち主の老婦人が殺され、貧しく実直な青年が疑われる。―ラストまで息もつかせぬ面白さ! 内容紹介より



本書の紹介文と主な登場人物欄に間違いと内容にそわない記述があるので勝手に訂正します。
まず、紹介文の「大金持ちの友人」とは、気球仲間のエシー・ペックのことでしょうが、彼女は「ちっぽけな遺産で暮らして」いるので大金持ちではない。殺されたのは老婦人グレースじゃなく、その知人のローズ。疑われる人物は、妻とふたりの娘がいる陰気な自尊心の強すぎる「欠陥人間に思える」画家で、「実直な青年」のイメージとはかけ離れています。そして、クリストファーとナンシーは、マーガレットの子供ではなく孫です。

そもそも邦題も熱気球のなかで人が死んだり、それを使って人を殺したりするわけじゃないのでおかしいのですけどね。だから、冒険小説な要素もありません。

内容は中年女性が親友のために連続殺人事件に挑むコージー風ミステリです。冒頭では孫や友人のこどもたちの会話が面白かったのに、残念なことにその後登場しなくなってしまいました。

以下、ネタばれ気味です。ご注意下さい!






主人公が目星をつけた人物の容疑を固めるために奔走し、彼女がいかにして証拠を見つけるかに話が進むのだろうと思っていたら、突如別の人物が怪しくなり、結局、真犯人は主人公が思ってもみなかった人物という展開でした。従来なら伏線が張ってあってそこを読み返せば、〈ああ、そういえば〉的な感想を持つものですが、この作品にはそんな犯人に結びつく伏線が見当たりません。ミステリとして読んでいたらサスペンスで終わったみたいな、なにか腑に落ちない消化不良な読後感が残りました。しかも、動機は金と狂気だなんて、そんなの誰が犯人でもかまわないじゃないか。作者は意外性を狙って真犯人の設定をしたのだろうけれど、ミステリの技量のなさを露呈してしまった気がします。途中まではまあまあのできだったから、そのまま犯人にいたる証拠を地道にひらめきと推理で見つけて欲しかったなあ。そのほうがテクニックを必要とするでしょうが。



熱気球殺人事件 (講談社文庫)熱気球殺人事件 (講談社文庫)
(1994/04)
デビット オズボーン

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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