FC2ブログ

「明日への契り」ジョージ・P・ペレケーノス ハヤカワ文庫

2008-08-21

☆☆☆☆

妻と息子と別れ、失意の日々を送るマーカス。彼は貧しさから母親と離れて暮らす少年アンソニーと出会い、驚くべき事実を聞かされた。炎上する車から若者が金を盗み出す現場を偶然目撃したというのだ。その金が麻薬密売の元締のものだったことから、組織は情報を握るアンソニーの行方を追う。やがて少年の身に危険が及ぶにいたってマーカスは組織との対決を決意する! 男たちの生きざま、哀しみを叙情的に謳い上げた傑作。 内容紹介より



とにかくジョージ・P・ペレケーノスの作品はとても分かりやすい。ヤクザ映画じゃないけれどなんだかそんな雰囲気を感じます。高倉健!みたいな。渋いっ!みたいな。

ジョー・R・ランズデールの作品とは友情とバイオレンスという共通点がありますが、
ランズデールの『凍てついた七月』や『人にはススメられない仕事』で暴力が目的化し、暴力と死に魅了されつつある危うさが描かれているのに対し、ペレケーノスの作品の暴力はまだ手段であり、コントロールできているところに作者の昔気質というか古風さが現れていると思います。しかし、ここには古来の「卑しい街を行く騎士」など存在せず*、主人公は汚職警官のひとりであり、そもそも「卑しい街」どころか市長からして麻薬常習者で、十一歳の子供がコカインを売り、尊敬を集めるのは麻薬密売の総元締という汚濁にまみれた街になってしまっています。この街の変遷を描いているところに、当シリーズが〈ワシントン・サーガ〉と呼ばれる由縁を強く感じます。

甘々な結末はやはり古典的な印象です。それよりも『ローリング・ストーン』を読んでいるかのごとく、音楽のタイトルとアーティストの名前がうじゃうじゃ出てくるのには少し辟易しました。

*マーカス・クレイはその絶滅寸前の生き残りかもしれませんが、家庭や店という守るべきものを持ちディフェンス専門になっている。




明日への契り (ハヤカワ・ミステリ文庫)明日への契り (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1999/10)
ジョージ・P. ペレケーノス

商品詳細を見る

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF クリスマス・ストーリー アンソロジー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート ドン・ウィンズロウ デイヴィッド・ハンドラー ジョージ・P・ペレケーノス マイクル・クライトン ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ ジョー・R・ランズデール C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング ヘニング・マンケル レジナルド・ヒル ジェフリー・ディーヴァー エド・マクベイン ピーター・ラヴゼイ カール・ハイアセン ジェイムズ・パタースン ローレンス・ブロック パーネル・ホール ジル・チャーチル ジェームズ・パターソン S・J・ローザン D・M・ディヴァイン リチャード・マシスン リリアン・J・ブラウン スチュアート・ウッズ ジャネット・イヴァノヴィッチ レスリー・メイヤー ローラ・リップマン レックス・スタウト ジョルジュ・シムノン ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー クレオ・コイル ジャック・カーリイ アリス・キンバリー マーシャ・マラー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ヒラリー・ウォー ジョン・ディクスン・カー コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー エド・ゴーマン マイケル・ボンド ジェフ・アボット ウィリアム・L・デアンドリア G・M・フォード ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス ロブ・ライアン ポール・ドハティー リタ・メイ・ブラウン フレッド・ヴァルガス キャロリン・キーン アン・クリーヴス オーサ・ラーソン クリスチアナ・ブランド ジョアン・ハリス リン・S・ハイタワー デイヴィッド・マレル サイモン・カーニック スタンリイ・エリン ケイト・ロス ウイリアム・P・マッギヴァーン ジャン=クリストフ・グランジェ レニー・エアース ジョン・クリード ダナ・レオン ドナ・アンドリューズ ファーン・マイケルズ エヴァン・マーシャル コニス・リトル レイ・ハリスン アンドレア・カミッレーリ アンソニー・ホロヴィッツ ジャック・フィニイ ユージン・イジー ビリー・レッツ リック・ボイヤー ウィリアム・ランデイ サキ イーサン・ブラック ジェーン・ラングトン エーリヒ・ケストナー ウォルター・モズリイ ウォルター・サタスウェイト ポール・ドハティ スタンリー・エリン トバイアス・ウルフ 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント