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「ヒルダよ眠れ」 アンドリュウ・ガーヴ ハヤカワ文庫

2008-10-02

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☆☆☆☆☆

凶行時のアリバイもなく愛人までいた — 無実の訴えも空しく、公務員のランバートは妻ヒルダ殺しの罪で起訴された。そんな時、戦友のマックスがドイツから帰ってきた。マックスなら、あの気のいい陽気な妻のヒルダを殺した真犯人もあげてくれるだろう。しかしランバートもマックスもまだ知らなかった、死んだヒルダの正体とは語るもおぞましい悪女だったのだ! 強烈なサスペンスをひっさげて登場した著者の衝撃的処女作。       内容紹介より



すみません。本書は九月に宇佐川晶子氏による新訳がでたようですが、わたしは福島正実氏の旧訳を再読です。まっ、中身は一緒ですからね。巻末に瀬戸川猛資氏が書かれている「殺される側の論理—『ヒルダよ眠れ』とアンドリュウ・ガーヴのミステリ」という一文のとおりで特に付け加えることもありません。まさしく、ヒルダはまるで怪物のような「語るもおぞましい悪女」(内容紹介の文)などではなかったからこそ本書が後世に名を残す名作と成り得たのでしょう。
仮に政敵を謀殺したボルジア家の毒婦みたいな悪女が主人公だったとしても、現実のルクレツィアには適わないわけですから、ガーヴがヒルダをどこにでもいそうな、読者もいままで出会ったことがありそうな人物に設定したことは非常に見事な手法と言えると思います。

ミステリ作品といえども真犯人探しなどはおまけみたいなものですから、ひたすらヒルダの性格を堪能し毛虫歩感*を抱きつつ、こういう人っているなあと顎が胸に付くほど深く首肯しながら読み進むべきですね。欲を言えばもう少しねちねちとヒルダの嫌らしさを描写して欲しかったとも思いますが、でももしこれをルース・レンデル女史が書いていたらと思うと、貴方(気安く呼びかけますが、しかも漢字で)、とんでもないことになっていたでしょうからこのくらいで丁度良かったのかもしれませんね。


*蟻走感とほぼ同じ意味の新語です。

同じ作者の作品
『諜報作戦/D13峰登頂』



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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

ユキままさんのコメント

了解しました

キーワードが「女」「人妻」なんですね。
そりゃ書き込めないはずだ(笑。
というか、スパムコメント、TB大変ですね。
私、まだ何も対策してないんですよ。そのうちやられるかな~。
ああいうのって何の徳があるんだろう。嫌がらせとしか思えないですよね。

てんちゃん1号さんのコメント

ユキままさん、すみません。

> なんか「禁止キーワード」が含まれてるということで、
きっとスパムコメント、スパムTB対策として禁止キーワードに「女」「人妻」を設定していたせいだと思います。申し訳ありません。わたしはかなり天然でして…。ヒルダも可哀想な気もしますし、女性から見たヒルダ像はどうなんだろうと考えますので、ユキままさんの感想が気になります。いつか読まれて感想を聞かせていただければ嬉しいです。

ユキままさんのコメント

なんか「禁止キーワード」が含まれてるということで、
書き込みできなかったんですけど、
とにかく気になりましたので今後読みたいリスト
にメモしておきます。ということです。

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