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『クリスマス・トレイン』デイヴィッド・バルダッチ 小学館

2008-12-02

☆☆☆☆

トム・ラングドンは過去にピューリッツァー賞を受賞したこともある根っからのジャーナリスト。かつては世界中の戦場を駆け巡ってきたが、40歳を過ぎてにわかに情熱を失い、いまは旅行やグルメのライターとして糊口をしのいでいる。ある事件で飛行機に乗ることができなくなったトムは、ロサンゼルスに住む恋人とクリスマスを過ごすため、大陸横断鉄道を使ってニューヨークから西へ向かう。しかし、車中で、彼に戦場取材をあきらめさせるきっかけをつくった昔の恋人、エリーに再会するのだった。大陸横断鉄道に乗り合わせた人々の悲喜こもごもの人間模様の中で、トムとエリーとの間に再び愛は芽生えるのか。アメリカのベストセラー作家、デイヴィッド・バルダッチが贈る、クリスマス・シーズンに相応しいハートウォーミングなラブ・ストーリー。内容紹介より



主人公のジャーナリストとしての目標が、ペンの力で人々に悲惨な状況を知らしめ、世の中を変えること。しかし、世の中はよくなるどころか、ますます悪い方向へ向かっているからジャーナリストを辞めた、なんて冒頭のこういうのが主人公の青臭さとストーリーの生ぬるい雰囲気を現していています。戦場や暴動、飢饉の現場を数多く踏んできた四十のいい大人の設定にしては、キャラクターにそれらが活かされているとは言い難い。年齢を考えたら、遠い昔の失恋の痛手から抜け出せないのも軟弱だし、それ以外の心に傷を持った、もうちょと渋めのオジさんにした方が主人公の魅力が増したのではないかと。

他の登場人物たちも同じように軽めの性格設定で、群像劇の要素は薄く、ほとんど悪人、嫌な奴も出て来ません。作者が意図して、ハートウォーミングなクリスマス・ストーリーとバランスをとった人物設定、造形にしたのでしょう。そのため全体を覆うノベライズ風な安っぽさ、弛めの展開などいろいろありますが、それがまさしくクリスマス・クオリティなので、あえてそれを味わって楽しむべきなのでしょうね。

ワシントンからシカゴ、シカゴからロスアンゼルスへ、アムトラックの大陸横断鉄道による五千キロの列車の旅が一番の読みどころ。この鉄道を舞台に誰かトラベル・ミステリを書いてくれないでしょうか。西海岸に「新幹線」が建設されたら、鉄道への関心が高まりそうですし。



クリスマス・トレインクリスマス・トレイン
(2006/10/21)
デイヴィッド・バルダッチ

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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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てんちゃん1号

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