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『ガラスのなかの少女』ジェフリー・フォード ハヤカワ文庫

2009-01-13

Tag :

☆☆☆☆

降霊会が開かれる邸で起きた不可思議な出来事。数日前から行方不明になっていた少女の姿が、突如ガラスに浮かびあがったのだ…… いんちき降霊術師ディエゴら一行は少女の行方を追い、彼女が謎の幽霊におびえていた事実を知る。まもなく本物の霊媒師を名乗る美女の導きで、ディエゴらは少女の居場所に辿りつく。そこで見たおぞましいものとは?眩惑的筆致で読者を驚愕させる著者が放つ、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。 内容紹介より



以下、ネタバレ気味です!ご注意下さい。

オオアメリカモンキチョウから追想が始まり、マツノキシロチョウで終わる物語。蝶々についての描写が幻想性および華やかさと儚いイメージを作り出し、とても印象深い効果を作品に与えています。また、降霊術師やサーカスの見せ物小屋にいるような奇人たちといった登場人物たちがさらにノスタルジックな時代的効果を高めています。時はベーブ・ルースがカブス戦で予告ホームランを打った1932年。つまり二つの世界大戦のはざまの出来事で、この設定は後半において大きな意味をなしてきます。

この作品のテーマや登場人物たちの行動は蝶と幼虫、サナギに関連付けされていて、語り手である少年が精神的成長を遂げる場面をサナギの羽化に象徴させる一般的なものから、蝶の美に対する幼虫、サナギの醜は、優生学が目指すものと、そのターゲットとなりうるサーカスの奇人たちを表しており、愛蝶室を持つシェルがその部屋をたたもうとして言う言葉「できるからといって交配させて蝶を増やすという考えは趣味が良くないように思えてきてね」も優生学への批判と捉えることができると思います。

“眩惑的”と書いてあるから、きっと他人が見た夢を書いたような(つまり、とりとめがなく、よく理解できない)サスペンス・ミステリ作品かと思っていたら、第一次大戦後を時代背景にした少年の回想談という個人的に好きな設定の冒険物語でしたので、かなり満足しました。


降霊会関連作品
『雨の午後の降霊会』マーク・マクシェーン
『降霊会の怪事件』ピーター・ラヴゼイ



ガラスのなかの少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ガラスのなかの少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2007/02)
ジェフリー フォード

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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