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『またあの夜明けがくる イギリス・ミステリ傑作選 '77』ジョージ・ハーディング編 ハヤカワ文庫

2009-06-20

☆☆☆

あの女は殺さなくちゃならない―田舎の平穏な村で平凡な暮らしをおくる彼はそう決意した。あの女が村へやってきたときから、自分と妻の生活がおかしくなったのだ。スポーツ・カー、才能、スキャンダラスな過去。妻と生活をあの女の影響から守らなくてはならない。彼は用意周到な計画の末に、ある夜女の家に忍び込み、女を殺したのだったが……人間性に根ざす異常な殺人動機とその皮肉きわまる結末を描くルース・レンデルの第一話「運命の皮肉」をはじめ、コリン・デクスター、パトリシア・ハイスミス等現代の人気作家12人の傑作短篇を収録! 内容紹介より



「運命の皮肉」ルース・レンデル
いまさら言ってもですが、長短篇ともに水準の高い作品を書けるレンデル先生は立派。しかもこれは書き下ろし作品ですからね。被害者の意外な内面、捻った至極苦い結末。

「エヴァンズ、初級ドイツ語を試みる」コリン・デクスター
脱獄名人と刑務所長の対決の話。
こちらはいかにもコリン・デクスターらしい、らしすぎる作品。捻って捻って、二転三転四転くらいする彼の長篇のプロットを短篇でもそのまま使った感じです。ちょっと忙しい気もしますがよくまとめてはいます。

「私用電話」シリア・デイル
毎日、昼食後自宅の妻に電話する男の話。
「きみかい?ぼくだよ。どうだい」、「きみかい?ぼくだよ。どこにいたんだい?ベルが十回も鳴ったのに」、「きみかい?ぼくだよ。どこに行ってたんだい?」などなど。新婚旅行以来毎日こういう電話を受ける奥さんが採った行動も……。

「ヘイゼル、借金取立てをうけおう」P・B・ユイル
ヘタレな男とハードボイルドな女が借金取りをやる話。完全に男女の立場が逆転してます。

「パパの番だ」ジェイムズ・マクルーア
離婚した妻が引き取った子どもたちと婚約者を連れてピクニックに行った男の話。
父親の子どもへの感情の不安定さを心理サスペンスタッチで高め、ラストは子どもの持つ
残酷な心理で落とした作品で、その入れ替わりが上手い。

「一連の出来事」エリザベス・フェラーズ
五年前の未解決殺人事件の記事を書くために、舞台となった村へ取材に行ったジャーナリストが聴いた話とは。フェラーズお得意のそれは真相なのかあるいは間違いなのか、という設定が活きていると思います。

「楽園の午後」マーティン・ウッドハウス
嫌がらせを受け、妻を寝取られた破産目前の男とその敵役の男との決闘話。まあまあ。

「ラッカーの大晦日」ジョン・ウェインライト
すご腕ではあるが、フロスト警部をシリアスにしたような、さらに嫌みで皮肉屋で虫の好かない人物で、当然、警察署員全員から忌み嫌われているラッカー主任警視が主人公の話(苦笑)。まじで嫌な奴です、このひと(笑)。

「またあの夜明けがくる」パトリシア・ハイスミス
育児放棄、児童虐待の問題を先取りしたかのような作品。ハイスミス先生も相変わらずイヤーなところを突いてます。母親が精神的に疲れ病んでいく様子と問題を抱える家庭のモデルのような一家の有り様は非常に現実的で心に迫ります。

「解放者」マーガレット・ヨーク
かつてフランスレジスタンス組織に協力したことのあるオールドミスのイギリス人の元教師が他人に迷惑をかける人たちを片っ端から殺してしまう話。お節介殺人の顛末。
「あなたの従順なるしもべ」ジェフリー・ハウスホールド
ある村に新しく越してきた不思議な雰囲気を持つ男の話。

「静かな夜」デレク・ロビンソン
自宅に百二十六種類の銃を持つ男の話。パーティーから帰ってみると自宅が盗難被害に遭っていて、その日以来彼は来るべき泥棒の侵入に備えて偏執的な行動を取り始める。その妄執の先には……。



またあの夜明けがくる (ハヤカワ・ミステリ文庫 68-5)またあの夜明けがくる (ハヤカワ・ミステリ文庫 68-5)
(1982/01)
ジョージ・ハーディング編

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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