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『ナイス・レディ』ジェン・サックス ハヤカワ文庫

2010-10-10

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☆☆

グレースは心優しい女性だ。恋人と別れたいけれど、相手を悲しませたくない。だから、仕方なく殺してしまうのだ。一方、グレースを偶然見かけた殺し屋のサムは彼女に恋心を抱き、監視するようになる。そして彼女の殺人の手際のよさに思いをつのらせていく。やがて、グレースが三人目の恋人を殺した時、グレースとサムは運命の出会いを……殺人癖のある女と一匹狼の殺し屋の危険な恋を描くブラックな味わいのサスペンス 内容紹介より



以下、ネタばれ気味です!ご注意下さい。



ポーラ・ゴズリング作の『死の宣告』の時にストーリー・パターンを“お姫様と騎士たち”の物語に例えたのですけれど、本書はさらに基本的フォーマットが“お姫様と王子様”の物語に近くなり、お姫様、ドラゴン、醜い動物に変えられた王子様という三題噺を現代風にアレンジした作品になっています。たぶん。
ここでは、お姫様は普通のキャリアウーマン、王子様はプロの殺し屋、そしてドラゴンは
お姫様が心の中で造り出した感情でしょう。ニューヨークで女性として在ること、女性として生きることでさらされるストレスとプレッシャー*、そして子供時代に家庭内での体験で肥大化してきた人間関係における極度の緊張感、人に認められたい、失望させたくない、感情を傷付けたくないという気持ちが合わさり、それが特別好きでもない男と付き合うときにたがが外れたような勢いで爆発し、男を殺してしまう。これが彼女が飼っているドラゴンなのです。おそらく。
また、王子様というには無理がある中年の殺し屋は、ヒロインに恋をしてしまったことで依頼された殺しを中止してしまいます。つまり、お姫様のキスでヒキガエルが王子様の姿に戻れたみたいに。それから、いつまでも幸せに暮らしましたとさみたいなエンディングはいかがなものでしょうか?ピリッとしたバッドエンディングが良かったのに。


*具体的には、映画館での不審人物、地下鉄駅内での浮浪者たちの卑猥な言葉、デートレイプまがいの暴力を振るう男、失礼な言葉を浴びせた男を女友達と二人がかりでボコボコにしてしまったエピソードなどが頻繁に描かれています。ただ、パワハラする上司をなぜ男性に設定しなかったのかは不思議でした。




ナイス・レディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)ナイス・レディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2000/07)
ジェン サックス

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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