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『無限の殺意』 アレクサンドラ・マリーニナ  光文社文庫

2011-07-09

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☆☆☆☆

― 恐喝事件がきっかけで、管区検察局から個人情報のファイルが盗難にあっていたことが発覚した。盗みの実行犯は、折しもアナスタシヤが手掛けていた殺人事件の被害者であった。口封じのためなのか。犯人の真の目的は?捜査を進めるうち、やがて局面は、科学省管轄のある研究所で開発中の、軍事機密に属する戦慄のプロジェクトへと辿りつく……。― 本書でアナスタシヤは結婚を決意!恋人との14年もの長き春にピリオドが。乾杯! 内容紹介より



『アウェイ ゲーム』では、舞台は地方都市であり、主人公がほとんど一人で調査していましたが、本書では、舞台はホームであるモスクワで、身内である犯罪捜査局の捜査官たちとともに捜査に携わっているためか、こちらが受ける作品や主人公の雰囲気が前作とは違っているように感じました。それに、主人公の少々コミカルな一面も描かれていますし、事情聴取の達人であるドツェンコ捜査官みたいなユニークなキャラクターも登場して、全体に暗からやや明みたいに変化している気がしました。
ストーリーの展開は、ミステリではさほど珍しくもない恐喝事件から始まり、それがきっかけになって検察局における盗難事件が明るみでて、そこからまた毒殺事件へ、小さな事件が調べていくうちに大きな事件へ繋がり、新しい事実が判明していくという警察ミステリの基本形です。でも、この王道が、作者のテクニックと相まって一番面白いんじゃないかと思いました。
さて、軍事プロジェクトによって開発中の装置が起こす副次的現象が物語の肝にあたるのですけれど、これが科学的には眉唾物であるために作品の弱点となっていますが、この「装置」は、モスクワに蔓延する凶悪犯罪の温床となっている貧困、差別、格差などの社会問題をシンボライズし有形化したものとして捉えることができるのかもしれません。

『アウェイ ゲーム』アレクサンドラ・マリーニナ 光文社文庫




無限の殺意 (光文社文庫―分析官アナスタシヤ・シリーズ)無限の殺意 (光文社文庫―分析官アナスタシヤ・シリーズ)
(2003/10/10)
アレクサンドラ・マリーニナ

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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