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『無慈悲な鴉』 ルース・レンデル ハヤカワ・ミステリ

2011-08-28

☆☆☆☆

はじめは、愛人との駆落ちぐらいに考えていたものの、ウェクスフォード警部はいまや男の死を確信していた ― 失踪したのは、警部の隣人で会社員のロドニー・ウィリアムズ。その妻に、夫が戻らないと聞いてから二週間後、放置されたままの彼の車がまず発見された。さらに、突然、会社に辞表が送られてきたばかりか、妻に隠していた銀行口座が、池からは彼の身の回り品を詰めたバッグまで見つかった。まもなく、七カ所も刺されたロドニーの死体が掘り出された。折しも近隣では、一人歩きの女に声をかけた男が逆に刃物で傷つけられるという妙な事件が続いており、警部はさっそくロドニー殺しとの関連を調べはじめた。ところが、事件は思わぬ展開を見せた……
死体発見を知って警察を訪れた女は、ウェンディ・ウィリアムズと名乗った。あろうことか、彼女は被害者のもう一人の妻だったのだ!がぜん複雑な様相を呈する重婚者刺殺事件 ― 捜査線上に浮かぶのは、被害者に翻弄されていた二組の妻子、そして、ロドニーの娘も関わる、女権擁護を声高に叫ぶウーマンリブの闘士達……警部の粘り強い捜査が明らかにした事件の真相とは?ミステリ界でつねに動向を注目される実力派の一人レンデルが、現代的なテーマを意欲的に盛り込み、満を持して放つ、シリーズ最新作! 内容紹介より



真犯人も捕まり、おおよその動機も明らかにされ、読み終わるまであと十数ページというところで用事が入ったのでいったん読書を中断して、それにしても今回のウェクスフォード警部シリーズである本書は、読んでいると結構早めに犯人の検討がつくわりに警部のほうはそうでもなくてまどろっこしい思いをさせられるし、全体的にレンデルらしくないあまりぱっとしない作品だったなあ、なんて思いながら用事を片づけて読書に戻るとなんとその後の展開にびっくりさせられてしまいました。悠長な捜査のあとに驚愕の真実みたいな。事件の総括の後でこんなふうなサプライズを仕掛けられる作家はレンデル先生くらいでしょう。どんでん返しよりさらにすごい巧技なのではないでしょうか。これからはくれぐれも、油断してこのひとを見くびらないようにしよう。
最後の展開はたしかにやや強引な印象を与えますし、ウェクスフォード警部が全知全能風にも感じさせるところは不自然な気もします。しかし、作者の一筋縄でいかないミステリの作法がすごくよく表されている作品だと思いました。

タグ:ルース・レンデル




無慈悲な鴉 (ハヤカワ ポケット ミステリ―ウェクスフォード警部シリーズ)無慈悲な鴉 (ハヤカワ ポケット ミステリ―ウェクスフォード警部シリーズ)
(1987/05)
ルース・レンデル

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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