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『街中の男ーフランス・ミステリ傑作選(1)』 ジョルジュ・シムノン 他 ハヤカワ文庫HM

2011-10-09

☆☆☆

凍てつく冬のパリ、寒風吹きすさぶ街中で、一人の男を追って、後に語り草にもなるメグレの大尾行が始まる。尾行に気づいた男は、身元を明らかにする全ての物をセーヌ河に投げ捨て、名のない男となって街をさまよいつづける。男はなぜさまようのか?メグレはなぜ彼を追うのか?執念の追跡行を描く上記シムノンの表題作をはじめ、ポアロー/ナルスジャック、グリゾリアらフランスの代表的ミステリ作家のの作品に加え、サガンら異色の顔ぶれによるミステリを収録。洒落たフランス・ミステリのエッセンスを独自にパックした傑作アンソロジー! 内容紹介より 



「街中の男」ジョルジュ・シムノン、「犬」ポアロー/ナルスジャック、「とんがり山の穴奇譚」カミ、
「見えない眼」スタニスラス・A・ステーマン、「七十万個の赤蕪」ピエール・ヴェリ、「羊頭狗肉」フランシス・ディドロ、「悪い遺伝」フレデリック・ダール、「壁の中の声」ミシェル・グリゾリア「つき」ルイ・C・トーマ、、「殺人あ・ら・かると」フランソワーズ・サガン、「自殺ホテル」アンドレ・モロワ 以上、収録。

「街中の男」は内容紹介にかかれているので、以下はその他の作品について。

「犬」
夫のおじさんが旅行中、留守番と飼い犬の世話をするために屋敷にやってきた夫妻。犬はすぐに妻になつくが、古い馬車がしまってある車庫のなかのある場所では突然牙をむいて唸り、吠えたりして脅えだしてしまう。やがて離れでおじさんの死体が発見され、残された遺書から病気を苦にした自殺と判断された。まもなく全財産を相続する親戚の男が屋敷に現れるのだが……。短編ながら手抜きがなく、注意深く伏線が貼ってある良作。

「とんがり山の穴奇譚」
ピレネーにある断崖絶壁に立つホテルの一室で、深夜、突然グロテスクなうめき声が聞こえ始めた。声は宿泊客が発したものではなく、室内のどこかから聴こえてきたものだった。ホテルの支配人は偶然泊まりあわせていた素人探偵ルフォック・オルメスに怪奇現象の調査を依頼する。怪談と艶話をミックスしたようなフランスらしい話。

「見えない眼」
目の不自由な人たちを収容している施設が五回も放火されながら警察は真犯人を捕まえられない。思い余った所長は、探偵シラ・ロールに調査を依頼する。犯人捜しというか立証のやり方が今なら人権侵害としかいいようのない方法で、やられた人たちがトラウマにならないか心配。

「七十万個の赤蕪」
大手出版社の社長秘書のもとへ、七十万個の赤蕪についての覚えのない取引に関した手紙が届いた。社長以下社員一同一笑に付すがその後も赤蕪の契約についての手紙が届けられ、ある朝、自宅で薬品を嗅がされて意識不明になった社長秘書が赤蕪の青葉とともに発見される。そしてまた同様の手紙が副秘書のもとに届き、やがて彼は何者かによって拉致されてしまう。出版社はおかかえの推理作家三名に事件の謎を解かせようとするのだが……。捻りの利いた趣向が愉しい作品。

「羊頭狗肉」
肉屋の妻が車を運転中に事故を起こして死亡した。何の変哲もない自動車事故だと思われたが、ささいなことでかかわり合いになった警視が調べはじめると、彼女の死は毒薬によるものであり、また彼女は店の使用人と浮気をしていたことが判明する。当然嫌疑は夫に向けられる。よくあるオチですけれど、結構面白かったです。

「悪い遺伝」
若者は、近々結婚すること、その妻は産褥で死ぬこと、産まれた子供は殺人者になることをジプシーの女占師に予言された。そのとおりの運命をたどった若者が子供にとった行動とその結末。

「壁の中の声」
男が入浴していると女の声が聴こえてきて……。エッセンスの分からない幻想小説。グリゾリアはよく理解できません。

「つき」
アパートの住人から頼まれて宝くじを買ってきた管理人は自分用にも一枚買い求めていた。ラジオで当選番号が発表され、住人に渡した一枚が当たりくじだったことを知った彼のとった行動とは……。予想がつく結末ですけど、とても皮肉が利いたスタンダードな話。

「殺人あ・ら・かると」
ヴェニスにあるホテルのテラスで食事をする二組の夫婦。妻の一人は女友達であるもう一組の妻の夫と不倫していたが別れを告げられ、浮気を知った夫には離婚を持ち出されていた。そして不倫相手を愛している彼女のハンドバッグのなかには一挺の銃が用意されていた。別れ話を告げられた人妻の心の移ろう様を短時間に描いた心理サスペンス。

「自殺ホテル」
株の大暴落で破産してしまった男。愛妻に去られ、万策も気力も尽きた彼宛にあるホテルから一通の手紙が届いた。そのホテルでは命を絶ちたいと願う人にたいして、眠っているうちに安らかな死のサービスを提供する用意があるという内容だった。宿泊した彼はそこである魅力的な女性に出会う。どこかで読んだことがあるような、これまた非常にシニカルな一品でした。

『心やさしい女 ーフランス・ミステリ傑作選(2)」カトリーヌ・アルレー他 ハヤカワ・ミステリ文庫




街中の男 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 102‐1))街中の男 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 102‐1))
(1985/04)
ジョルジュ・シムノン、長島 良三 他

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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