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『セルロイドの息子』 クライヴ・バーカー 集英社文庫

2011-11-26

Tag : ホラー

☆☆☆☆

〈死霊復活の恐怖を感じた!〉
地下室、屋根裏部屋、路地、デッドエンド(袋小路)、墓地、 ― バーカーが好んで描く恐怖のトポス(場所)はどれもカビくさく、暗く湿っていて、過去へ過去へとつながっていく。バーカーは表通りよりも裏通り、現在よりも過去、そして理性よりも内蔵にひかれていく闇の作家である。バーカーの作品は、まさに「ダークサイド・オブ・ファンタジー」そのものかもしれない。 解説・川本三郎 内容紹介より



血の本[3]。『ミッドナイト・ミートトレイン』以来のクライブ・バーカー本。『ミッドナイト・ミートトレイン』がどんな内容だったかすっかり忘れてます。
「セルロイドの息子」「髑髏王」「好色稼業・屍衣の告白」「生贄」「魂の抜け殻」を収録。

以下、ネタバレ気味です!ご注意下さい。

「セルロイドの息子」
脱獄した男が逃走中に警官に撃たれ、逃げ込んだ寂れた映画館の中で死んでしまう。男の体内の癌細胞に、何十年にもわたって館内に蓄えられてきた観客たちの「情念のエネルギー」が取り憑いて新しい生き物が作り上げられる。それは映画のシーンや俳優たちの幻影で人間を幻惑し、注目、賞賛、熱狂を求めて彼らに襲いかかる。映画館のトイレが砂塵の吹きすさぶ西部劇の町の大通りに変わっている場面が『トワイライト・ゾーン』に出てきそうで面白かったです。

「髑髏王」
キリストが現れる以前の時代にイギリスの田舎町で跳梁跋扈していた巨人「髑髏王」の封印が解け、住民たちを殺戮しまくる話。原始宗教の時代に産まれた怪物なのでキリストの威光も効き目がない、その怪物に息子を生きながら食われた父親があるもので敵を討ちます。

「好色稼業・屍衣の告白」
騙されてポルノ雑誌の販売組織の経理事務をしていた男が主人公。事実が判明し、憤慨し抗議する彼は逆に暴力を振るわれ、さらにポルノ業界の首謀者という濡れ衣を着せられて殺されてしまう。死体置場で身体を被っていた屍衣に魂を移して、組織の黒幕に復讐する。憎悪とか怨念とかの単一の感情のみだけでなく、ある特定の人物の霊魂が意識を保ったそのままで無生物に乗り移り動き回るというのはユニークだと思いました。

「生贄」
地図にもない小島に座礁したヨットに乗っていた四人の男女。蠅の大群しか生き物が見当たらない、岩や石ころだらけの荒涼とした島で、四人は放牧場らしきところで三頭の羊を見つけるが、酔っぱらった一人がその羊の一頭を殺してしまう。そこに羊の世話をしている男がボートに乗って現れ、島のいわれが明らかになる。不気味な奇譚系の話。

「魂の抜け殻」
遺跡の出土品を研究する学者に買われた、美貌を誇る若い男娼がその客の浴室に沈んだ古代の人形を覗き込んだときから、その人形は男娼の姿形を盗み始める。やがて生活も記憶も真似され、魂さえ……、『ダブル/ダブル』(マイケル・リチャードソン 編 白水社)に収録されてそうな作品。墓地で彼の父親の墓参りに来た人形と出会った場面でのやり取りが薄気味悪かったです。




セルロイドの息子 血の本(3) (血の本) (集英社文庫―血の本)セルロイドの息子 血の本(3) (血の本) (集英社文庫―血の本)
(1987/05/20)
クライヴ・バーカー

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テーマ : ホラー小説
ジャンル : 本・雑誌

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