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『あぶない部長刑事』 チャールズ・ウィルフォード 扶桑社ミステリー

2012-01-08

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☆☆☆☆

マイアミシティ、六月。前作『マイアミ・ポリス』の事件から半年、娘たちとの共同生活も順調に、平和な毎日をおくっていたホウク部長刑事だったが、ある朝、突然「燃え尽き症候群」になってしまい、出勤拒否。同僚の手配で、無給休暇をとってリハビリにつとめることとなった。さて一方、悠々自適の生活を営むスタンリー老人は、ひょんなことから拘置所へ。そこで知り合った悪党にずるずると悪事の片棒を担がされる羽目に ― 。エルモア・レナードらが絶賛する知られざる巨匠ウィルフォードのユーモア警察物語。 内容紹介より



マイアミ警察殺人課部長刑事ホウク・モウズリーを主人公にした〈マイアミ・ポリス〉シリーズの一冊で、扶桑社ミステリーからは本書以外に『マイアミ・ポリス』と『部長刑事奮闘す』が邦訳されていますが、わたしはこの作品で初めて読みました。ノワール風なフロリダ・ミステリとかマイアミ・ミステリに警察小説のエッセンスを微量に加えたような一風変わった雰囲気を持つ作品で、非常にクセがありました。「燃え尽き症候群」になってしまったホウク部長刑事とフォード自動車工場を定年退職したスタンリー、このふたりの主人公の視点から交互に物語が進んでいくのですが、ホウクが警察を休職してアパートの管理人の仕事をしていることもあって、これが日常の細かな出来事(また、風景描写が異様なほど細かい)ばかりでいっこうに犯罪事件が起きません。かえって面白いのは、変わり者ではあるけれど、どこにでもいそうな隠居した老人のスタンリーが冤罪から悪事に荷担していく様子で、これが新聞の三面記事に掲載された事件を再現した実録ものを読んでいるみたいな感じがしました。ある事件のぬれぎぬを着せられたのを契機に、いままで妻や息子に抱いていたうっぷんが表面に表れ、小悪党に肩入れしてしまう心の動きが上手に描かれていると思います。クライマックスの突然バイオレンスにいたるシーンや主人公ふたりの人生が交わるところはそこなのか!っていう部分が読者の意表を突いていると思いました。軽そうな内容にみえますが、なかなか緻密に構成されたユニークな作品でした。

『炎に消えた名画』チャールズ・ウィルフォード 扶桑社ミステリー




マイアミ・ポリス あぶない部長刑事 (扶桑社ミステリー)マイアミ・ポリス あぶない部長刑事 (扶桑社ミステリー)
(1989/10)
チャールズ・ウィルフォード

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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