FC2ブログ

『冷たい方程式』 トム・ゴドウィン 他 ハヤカワ文庫SF

2012-02-07

☆☆☆☆

ただ一人の乗員を目的地まで届ける片道分の燃料しかない緊急発進艇に密航者がいたとしたら、パイロットの取るべき行動は一つ ― 船外遺棄!だがそれが美しい娘で、たった一人の兄に会いたさに密航したのだとしたら? SF史上に残る記念碑的名作「冷たい方程式」ほか、思うままに空を飛べるようになった大学教授の悲喜劇を巨匠アシモフがユーモラスに描く「信念」など、よりすぐった6中短篇を収録した待望の傑作集! 内容紹介より 



「接触汚染」キャサリン・マクレイン
「大いなる祖先」F・L・ウォーレス
「過去へ来た男」ポール・アンダースン
「祈り」アルフレッド・ベスター
「操作規則」ロバート・シェクリイ
「冷たい方程式」トム・ゴドウィン
「信念」アイザック・アシモフを収録。

サブタイトルは、SFマガジン・ベスト 1。
新版のほうではなく旧版の感想です。新版では「冷たい方程式」「信念」の二篇以外は別の作品が収録されているそうで、個人的に大好きな「徘徊許可証」も入っているみたいです。

さて本書では、作風が好きなのはトワイライト・ゾーン的な「祈り」、昔、文春文庫から出ていた『ミステリーゾーン』の何巻だったかにも超能力を持った子供が、気に食わない人物をどこかに転送してしまう話がありましたが、それと似ています。どうして超能力を持てるようになったかという説明をすっきり省いて、その能力を利用しようとする人物とその末路と、子供の意図しない残酷さを描いています。送られた先の虚無な空間を想像すると非常に怖いのです。そして、10世紀末あたりのアイスランド付近に飛ばされたアメリカ軍兵士の話、「過去へ来た男」を書いたポール・アンダースンといえば、ユーモアSFの“ホーカ・シリーズ”が思い浮かびますが、それと違って本作品はかなり悲劇的な物語でした。現代の文明的な考えや利器を携えた者が必ずしも過去の世界で上手くやって行ける訳ではない、という皮肉が込められているのでしょうか。宇宙に適応放散していった人類の祖先を探して、余計なことをやってしまった「大いなる祖先」は訳のせいかどうなのか読みにくかったです。ある星の探査にやってきた植民団が特異な疫病に感染してしまう「接触汚染」、突然、空中浮揚の能力を身に付けた大学教授が、そのことを頭がおかしくなった異常者だとか嘘つきだとかトリックだとかと周りに誤解されないように、いかに他人に納得させるかという方法論を(回りくどく)説いた「信念」、宇宙船の燃料を節約する目的で雇った、念動能力を持った乗組員への取り扱い説明の話「操作規則」、「冷たい方程式」は、意図せず過積載に陥った小型宇宙艇、その場合パイロットは該当する荷物をどのように取り扱えば良いのか、という将来宇宙宅急便屋さんを目指す人へ向けた心得。




冷たい方程式 (ハヤカワ文庫 SF 380 SFマガジン・ベスト 1)冷たい方程式 (ハヤカワ文庫 SF 380 SFマガジン・ベスト 1)
(1980/02)
トム・ゴドウィン

商品詳細を見る

新版はこちら、
冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)
(2011/11/10)
トム・ゴドウィン・他

商品詳細を見る

テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

てんちゃん1号

  • Author:てんちゃん1号
  • 海外ミステリなどの感想を誤字脱字、表現・文法間違いを交え、思い込みと偏見を持って書いています。そんな素晴らしいブログなのでリンクとか何でもフリーです。異次元、霊界、他惑星からもお気軽にどうぞ。

カテゴリー

最近の記事

月別アーカイブ

01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07 

ユーザータグ

短編集 ホラー SF アンソロジー クリスマス・ストーリー ルース・レンデル アーロン・エルキンズ スティーヴン・キング キャロリン・G・ハート デイヴィッド・ハンドラー ドン・ウィンズロウ ジョアン・フルーク ローラ・チャイルズ マイクル・クライトン ジョー・R・ランズデール ジョージ・P・ペレケーノス C・J・ボックス ポーラ・ゴズリング ヘニング・マンケル レジナルド・ヒル ローレンス・ブロック カール・ハイアセン パーネル・ホール ジェイムズ・パタースン S・J・ローザン ジェームズ・パターソン エド・マクベイン リチャード・マシスン ジル・チャーチル D・M・ディヴァイン リリアン・J・ブラウン ジェフリー・ディーヴァー レスリー・メイヤー ピーター・ラヴゼイ ジャネット・イヴァノヴィッチ スチュアート・ウッズ ローラ・リップマン ジョルジュ・シムノン レックス・スタウト ジョー・ゴアズ ウィリアム・カッツ マーガレット・ミラー クレオ・コイル ジャック・カーリイ アリス・キンバリー マーシャ・マラー アイザック・アシモフ カーター・ディクスン ヒラリー・ウォー ジョン・ディクスン・カー コリン・ホルト・ソーヤー ルイーズ・ペニー エド・ゴーマン マイケル・ボンド ジェフ・アボット G・M・フォード ジェームズ・ヤッフェ イーヴリン・スミス フレッド・ヴァルガス ロブ・ライアン リタ・メイ・ブラウン ポール・ドハティー キャロリン・キーン ウィリアム・L・デアンドリア ダナ・レオン リン・S・ハイタワー アン・クリーヴス アンソニー・ホロヴィッツ デイヴィッド・マレル ドナ・アンドリューズ サイモン・カーニック ジョアン・ハリス ジャン=クリストフ・グランジェ スタンリイ・エリン ジョン・クリード アンドレア・カミッレーリ レニー・エアース ケイト・ロス ウイリアム・P・マッギヴァーン レイ・ハリスン コニス・リトル クリスチアナ・ブランド エヴァン・マーシャル ファーン・マイケルズ オーサ・ラーソン ジャック・フィニイ ウィリアム・ランデイ エーリヒ・ケストナー リック・ボイヤー ビリー・レッツ サキ ユージン・イジー イーサン・ブラック ジェーン・ラングトン ウォルター・サタスウェイト ウォルター・モズリイ トバイアス・ウルフ ポール・ドハティ スタンリー・エリン 

ブログ内検索

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

リンク

RSSフィード

最近のトラックバック

最近のコメント