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『地球の静止する日』 ハリー・ベイツ 他 角川文庫

2012-02-09

☆☆☆☆

「上には上がいる」とよく言うが、地球上の生物のなかで頂点にいる ― と思い込んでいるだけかもしれない ― 人類。その人類のまえに、遠宇宙や異次元から、はるかに高い知能や文明を持つ種族が不意に出現したとき、何が起きるのか?かれらは人類に恩恵をもたらしてくれるのだろうか?(「地球の静止する日」) これまでに映像化された作品を集めた、SFスリラー傑作選。 内容紹介より



創元SF文庫からも同名の本が出版されています。でも、ベイツの短篇以外には収録作品に被りはありません。

「地球の静止する日」ハリー・ベイツ
空中タクシーや光線銃などが存在してて、現代よりも科学技術が発達している設定なのに、なんで銀塩カメラ使ってんの?とか、ハンディビデオカメラとかないのかよって突っ込みたくなるほどの漂うB級感が独特でした。ストーリー云々よりそっちのほうが気になりました。作品の肝であるラストの一言もそんな機械文明を風刺しているのでしょうか。


「デス・レース」イヴ・メルキオー
ピーター・へイニングが編んだアンソロジー『死のドライブ』(文春文庫)にも、「デス・レース二000」として収録されている作品。公道をレーシングコースにして、通行人をはねて死傷させたらポイントが与えられるという、とんでもないレースに参加したドライバーの話。『死のドライブ』を読んだときの記憶が残っているくらい、かなりインパクトがあるアイデアですけれど、主人公が人間性に目覚めてしまい陳腐な展開になってしまったのは残念。

「廃墟」リン・A・ヴェナブル
この作品は《トワイライト・ゾーン》に使われた原作だそうで、外部からの圧倒的に大きな力(この場合は最終戦争ですが)によって翻弄されるひとりの人間を描いていて、本好きの人間なら主人公が見舞われた悲運と彼の哀切が胸に迫ってくるでしょう。

「幻の砂丘」ロッド・サーリング&ウォルター・B・ギブスン
これも《トワイライトゾーン》絡みの作品だそうです。西部開拓時代、カリフォルニアへ向かう、食料も水も尽きそうな幌馬車隊の話。隊のリーダーが時空のゆがみで現代にタイムスリップしてしまい、高速道路端のカフェに辿り着き、そして彼が知る未来とは。ライフル銃が暴発し過ぎ。

「アンテオン遊星への道」ジェリイ・ソール
多数の移民を乗せて遊星へと向かう長期間の宇宙旅行、その期間、船内で何らかのトラブルが発生し、計画が失敗に終わる事例が続いたため、〈星間移民推進局〉はある監視役を同乗させることにした。そこでもやがて正体不明の人物が起こす犯罪が頻発するようになるが……。大山鳴動してっていう気もします。

「異星獣を追え!」クリフォード・D・シマック
不法に手に入れた凶暴な異星獣が逃げ出したため、事が大きくなるまえにそれを始末してしまおうという飼い主の話。いわば外来生物問題を先取りした作品かも。ただ、ひと捻りが加えてあって後味は苦め。
主題がぼやけてるような感じを受けました。

「見えざる敵」ジェリイ・ソール
探査目的で、ある惑星に降り立った宇宙船の乗組員全員が消息を絶った。原因を究明するため戦艦が派遣され、コンピューター専門の科学者も同行する。しかし、その一隊にも被害が出始める。姿を現わさず痕跡も残さない敵に襲われたらしいのだが……。敵の正体、そして軍人と科学者の反目みたいなものもテーマになっているようなのですが、科学者のキャラはもう少し強目でも良かったのでは。

「38世紀から来た兵士」ハーラン・エリスン
遠未来における残酷で悲惨な戦闘場面と絶望的な状況に陥った兵士たちの様子が見事に描かれた傑作。
尾之上浩司氏の解説によると、《アウター・リミッツ》の「38世紀から来た兵士」のもとになった作品で、1957年に雑誌に発表されたものだそうです。その頃はまだ冷戦時代のまっただ中なので、込められたメッセージは時代の影響も少なからず受けているのでしょうね。

「闘技場(アリーナ)」フレドリック・ブラウン
フレドリック・ブラウンの短編集『スポンサーから一言』(創元SF文庫)に収められているこの作品も印象に残っている名作で、人類とその戦争相手の異星人、この二つの勢力からピックアップされた者が、それぞれの星の命運を賭けて闘うというシンプルな話。相互を隔てるバリアーとそれを通過できるかどうか、というアイデアがとても上手いと思います。

タグ:SF




地球の静止する日 (角川文庫)地球の静止する日 (角川文庫)
(2008/11/22)
ハリー・ベイツ、他 他

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テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

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