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『ブラックベリー・ワイン』 ジョアン・ハリス 角川文庫

2012-06-29

☆☆☆☆

しがないSF作家のジェイは、長い眠りについていたワインの封を開けた。少年時代に出会った、不思議な老人ジョーの忘れ形見だ。花と植物をこよなく愛し、ジェイと心を通わせた彼は、ある夏忽然と姿を消した。古びたワインの味とともに甦る想い出……その魔法に導かれるように、南仏の村に移り住んだジェイは、そこでジョーの亡霊と出会う。止まっていた人生が、再び明るい方へと動き出した ― 。感動作『ショコラ』の姉妹編。 内容紹介より



サラ・アディソン・アレンの『林檎の庭の秘密』に似たマジック・リアリズム風な大人のファンタジーです。昔一冊のベストセラーが世に出たこともある主人公ジェイは、いまでは別のペンネームでSF作品を書いて日々を過ごしています。ある日、彼はかつてのベストセラーの登場人物のモデルになった老人ジョー自家製のワインを飲んだ途端、少年時代の想い出が甦り、偶然目にとまったパンフレットに掲載されていたフランスの農家を衝動買いしてしまいます。その農家のある村が『ショコラ』の舞台になった場所であり、登場する村の住人たちも同じ人たちなのだそうですが、わたしには少しも思い出せませんでした。内容はまったく別の話ですけれど、『ショコラ』をざっとでも読み返しておけばよかったかもしれません。
ストーリーは主人公の少年時代の回想と、ピーター・メイルのプロヴァンス・シリーズを彷彿とさせるフランスの片田舎での村人との交流の話がほぼ交互に描かれて進んでいきます。この二つの時間を繋いでいるのが老人ジョーと彼の幻影です。そして登場人物たちに不思議な作用をもたらすものがジョーが別々の材料でつくった六本の自家製ワインです。主人公の隣人で、かたくなに村人から孤立して生きる母娘の存在、土地を開発して観光客を呼び寄せようとする一部の住人たちの目論みと主人公が書きかけている新たな傑作との関係など全体に興味深いけれどどこかで聞いたことがあるような話で、それも掘り下げ不足みたいな気もするから、もっと熟成させたらより芳醇な作品になったかも、とワインだからお決まりの陳腐な言葉を羅列してみました。

『ショコラ』ジョアン・ハリス 角川文庫
『紳士たちの遊戯』ジョアン・ハリス ハヤカワ文庫




ブラックベリー・ワイン (角川文庫)ブラックベリー・ワイン (角川文庫)
(2004/09)
ジョアン・ハリス

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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