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『モスクワ、2015年』 ドナルド・ジェイムズ 扶桑社ミステリー

2012-09-23

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☆☆☆☆

“世紀は変わっても、ロシアの風土と政治は変わらない” ― 西暦2015年、長年にわたってロシアに悲劇をもたらした内戦は、国家主義者・民主主義者連合軍の勝利に終わった。新時代が到来しても、地方都市のしがない警官ヴァジムは絶望の日々を送っていた。幼い息子は戦火に消え、妻は反政府活動の中心人物として地下に潜伏。しかも、政治の横暴は市民に犠牲を強いつづけるばかり……ところが、副大統領の影武者という驚くべき任務がヴァジムにあたえられた!こうして彼は、否応なく歴史の歯車に組み込まれてゆく ― 。 内容紹介より



以下、ややネタバレ気味です。ご注意下さい。


ジョン・ル・カレなどのシリアスなスパイ物で描かれたソ連の負のイメージが強いせいか、内容紹介文を読むと本書も息苦しく全体的に暗い社会を背景に、心に傷を負った主人公の苦悩が事件とともに鬱々として描かれているのかと想像していました。確かに、秘密警察の長官が副大統領を務め、彼の組織が幅をきかせている状況にあるし、主人公の幼い息子は戦争の犠牲になり、新政府の敵側として戦っていた彼の元妻は逃亡中の身にです。しかし、インテリで女性にモテるものの腕っぷしの方はそれほどでもなく、気弱なところがある主人公のキャラクターと殺人事件の捜査などやったこともない彼が敏腕の殺人課刑事という偽の肩書きで、新任地モスクワで起きた連続猟奇殺人事件を手がけなくてはならないという設定の妙、また、動物嫌いの彼の仕事部屋で飼われている猫とのやり取りなどコミカルなシーンもあってバランスがとれています。
物語は地下に潜ってテロ活動を計画する主人公の元妻、彼女を追う彼の旧友である秘密警察の少佐との絡み、そして連続殺人事件の捜査活動、この二つが軸になって進みます。
唯一つの伏線の役割しかなかった影武者の姿、真犯人の正体が判明する部分での盛り上がり不足、元妻の実にあっけらかんとした変節ぶりとか、もっとひねりが仕掛けられているのかと思ってたけれど、意外にあっさりでした。後半部分ではもっとけれん味を出しても良かったのではないでしょうか。ただ、実行犯の正体には驚きました。




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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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